コラム

産後パパ育休:申出期限を1か月前までとする労使協定

2021.11.09

2022年4月から3段階で施行される改正育児・介護休業法ですが、その施策の中で注目を集めているのが新たに創設された「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」です。

※改正・育児介護休業法のポイントはこちら

 

まず、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の概要は以下の通りです。

 

・対象期間、取得可能日数:子の出生後8週間以内に4週間まで

・申出期限:原則休業の2週間前まで ※後述する要件に該当する場合、1か月前まで

・分割取得:分割して2回取得可能

・休業中の就業:労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能

 

通常の育児休業と産後パパ育休は異なる特徴がいくつかありますが、その1つとして、「申出期限」が挙げられます。

通常の育児休業の申出期限は原則1か月前(1歳以降の育児休業は2週間前)で、申出がこれより遅れた場合、事業主は、労働者が休業を開始しようとする日以後、申出の日の翌日から起算して1か月(1歳以降の育児休業は2週間)を経過する日までの間で、休業を開始する日を指定することができます。

 

産後パパ育休の申出期限は、原則として2週間前ですが、厚生労働省令で定められた職場環境の整備等の措置を労使協定で定める場合には、申出期限を1か月前までに変更することができます。

 

労使協定で定める職場環境の整備等の措置は、次の3つです。

 

1.次に掲げる措置のうち、2つ以上の措置を講ずること。

 

・雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施

・育児休業に関する相談体制の整備

・雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供

・雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知

・育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置

 

2.育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること。

 

3.育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと。

 

 

産後パパ育休の申出を2週間前までとすると、職場の体制が整わず、業務に支障が生じる事態が想定される場合もあるかもしれません。

その対策として、定められた職場環境の整備等の措置を講じることで、普段から育児休業に対する理解を深めることです。

産後パパ育休の申出期限を1か月前までとし、計画的で無理のない育児休業の実現ができるよう、労使協定を締結することも検討課題に入れていただければと思います。

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています