コラム

共働き夫婦、子供の扶養はどちらがする?

2021.05.21

●夫婦共に雇用者の共働き世帯は、年々増加しています。

男女共同参画白書(概要版 平成30年版)によると、男性雇用者+専業主婦の641万世帯に対して、夫婦共働きは1188万世帯。ほぼ2倍近くに上ります。

そのため、最近ではお子さんが生まれるとき、健康保険において夫婦どちらの扶養にすべきかといったご相談も増えています。

悩ましいのは、夫婦の年収がほぼ同じ場合でしょう。

保険者間でいずれの被扶養者とするか調整するのに時間がかかってしまい、お子さんが一時的に無保険状態となってしまう恐れがあります。

後から償還払いはできるとはいえ、余計な手間がかかることも事実。そこで、このような事態を防ぐために、被扶養認定の具体的な基準が策定されました。

今回は、夫婦共同扶養の場合における健康保険の被扶養者の考え方についてお伝えします。

●まず、夫婦とも被用者保険の被保険者の場合。たとえば、夫が健康保険組合で、妻が協会けんぽ、というようなケースです。

原則は、これまでと同様に、夫婦どちらかの年間収入が多い方の被扶養者となります。

ここでいう「年間収入」とは、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものを言います。

次に、夫婦双方の年間収入の差額が、年間収入の多い方の1割以内である場合。

被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とします。

たとえば、夫の方が年間収入において1割弱低いとしても、主として生計を維持する夫の保険者に届出をすれば、夫の被扶養者になるということです。

では、夫婦双方またはいずれか一方が「共済組合の組合員」であって、扶養する家族がいれば扶養手当等が支給される場合はどうでしょう?

扶養手当等の支給が認定されている場合は、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えないとしています。

なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に、被扶養者として認定しないことはできません。

●夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合はどうでしょうか。

この場合、被用者保険の被保険者については「年間収入」を、国民健康保険の被保険者については、「直近の年間所得で見込んだ年間収入」を比較します。

そして、いずれか多い方が主として生計を維持する者となります。

●ところで、主として生計を維持する者が、健康保険法に定める育児休業等を取得することも考えられます。

育休中は、給与を支給しない会社がほとんどですが、だからといって育休をしていない配偶者の扶養にするというのも、現実的ではありません。

そこで、育児休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しない(そのままとする)ことが認められます。

ただし、新たに子供が生まれた場合は、改めて上記の認定手続きを行うことになります。

●それでは、転職・退職などで、夫婦の年間収入が逆転する場合はどうでしょう?

この場合は、年間収入が上回る方が原則的に子供を扶養することになります。

被扶養者認定を削除する場合、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者が認定することを確認してから、削除するようにします。

●被扶養者の範囲が変わるものではありませんが、今回ご紹介した健康保険の扶養認定基準の取扱いについては、2021年8月1日から適用されることになっています。

夫婦共働きの場合、上記の考え方に従ってどちらの扶養にするか決め、速やかに手続きを行うようにしましょう。

夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えないこととされています。そのため、あらかじめ加入する保険者に確認しておくとよいでしょう。

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子

 

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