コラム
社会保険の事業所調査で誤りが多い事例とは
2023.12.18
●年金事務所は社会保険の適用事業所に対して、定期的に調査を行っています。
内容は多岐にわたり、指摘される事項については、事業所が誤解をしているケースも少なくありません。
実務上において、「この場合はどうなるの?」という素朴な疑問を持つことは日々あろうかと思いますが、誤り多く指摘されることの一例をここでは取り上げてみます。
それは、随時改定(被保険者月額変更届)に関して、同じ月に複数の固定的賃金の変動があった場合です。
●例えば、令和5年9月から10月にかけて「基本給」が250,000円から255,000円に増額され、同時に「住宅手当」10,000円が廃止されたとしましょう。
この場合、「基本給」が増額したことを月額変更の契機とし、10月を起算月として令和6年1月改定をする、と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。
これは、よくある誤りのケースです。
同一月に複数の固定的賃金が変動した場合(手当の新設・廃止・増額又は減額)は、変動した固定的賃金の「総額」が増額するのか、減額するのかを確認し、増額改定・減額改定いずれの対象となるか判断します。
このケースでは、総額として5,000円増えたものの10,000円減っている(総額として5,000円のマイナス)になるので、減額改定の対象となります。
コロナ対応に関連して、在宅手当を増設したり出社再開に合わせて廃止したり、通勤手当を変更したり、固定的賃金を変動するケースは決して少なくありません。
くれぐれもご注意いただければと思います。
このほか、非固定的賃金の単価が変動した場合や、手当のさかのぼり支給があった場合など、事業所調査で指摘を受けるポイントは複数あります。
自社で社会保険手続きを内製化されている場合は、特に気を付けてください。
人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子
※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています