コラム

勤務間インターバル制度と導入支援の助成金

2023.07.10

●「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図ることを目的としています。

2019年4月から、制度の導入が努力義務化されましたが、直近の導入率をみても5.8%にとどまっています。

勤務間インターバル制度は、一般に長時間労働が恒常化している事業所が導入すべきものだという認識がありますが、そうばかりとは限りません。

コロナ禍以降、柔軟な働き方が広まっている背景において、一定の意義があるのではないかと考えます。

 

この点については、以下のブログもあわせてご覧ください。

【勤務間インターバル制度がもたらす意義とは?】

https://www.workstyle-blog.jp/20230619/interval-134/

 

●勤務間インターバル制度を導入する中小企業事業主に対して、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」が設けられています。

この助成金でいう「勤務間インターバル」とは、休息時間数を問わず、就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を指します。

 

就業規則等において、〇時以降の残業を禁止し、かつ〇時以前の始業を禁止する旨の定めや、所定外労働を行わない旨の定めがある等により、終業から次の始業までの休息時間が確保される場合においては、勤務間インターバル制度を導入しているものとします。

一方、〇時以降の残業を禁止、〇時以前の始業を禁止とするなどの定めのみの場合には、勤務間インターバル制度を導入していないものとします。

 

●支給対象となる取り組みとして、以下1つ以上実施することが求められます。

 

1.労務管理担当者に対する研修

2.労働者に対する研修、周知・啓発

3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング

4.就業規則・労使協定等の作成・変更

5.人材確保に向けた取組

6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新

7.労務管理用機器の導入・更新

8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

9.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

 

また、成果目標の設定も必要で、事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ることとされています。

 

●支給額は、対象経費の合計額に補助率4分の3を乗じた額です(上限額あり)。

 

~「新規導入」に該当する取組がある場合の上限額

 

休息時間数が9時間以上11時間未満:80万円

休息時間数が11時間以上:100万円

 

こうした成果目標に加えて、労働者の賃金が3%以上または5%以上引上げが実施された場合などに加算もあります。

 

申請の受付は2023年11月30日(木)まで(予算額の制約があるためこれより前に終了する場合もあり)です。

 

こちらのリーフレットもご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/001082526.pdf

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています