コラム
2024年1月から労働条件明示ルールの改正ポイント
2023.05.15
●2024年4月1日から、労働条件明示のルールが変更されます(労働基準法施行規則5条の改正)。
労働者を雇用するすべての事業所に関連がありますので、今のうちからぜひその概要についておさえておきたいところです。
そこで今回は、新しく追加される明示事項のポイントについて取り上げます。
●改正点は、すべての労働者に明示する事項と、有期契約労働者に対する明示事項等に大別できます。
まず、すべての労働者に対する明示事項についての追加点について確認しておきましょう。
労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要となります。
「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の内容を指しています。
●次に、有期契約労働者に対する明示事項についてです。こちらの内容は主に3つあります。
1.更新上限の明示
有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。
また、雇い止め告示(有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準)の改正により、下記の場合はあらかじめ変更等をする「前」のタイミングで、労働者に説明することが必要となります。
(1)最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合
(2)最初の契約締結の際に設けていた更新上限を短縮する場合
2.無期転換申込機会の明示
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要になります。
3.無期転換後の労働条件の明示
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
また、雇い止め告示の改正により、「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の賃金等の労働条件を決定するにあたって、他の通常の労働者とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について、有期契約労働者に説明するように努めなければなりません。
労働契約法3条2項において、労働契約は労働者と使用者が就業の実態に応じて均衡を考慮しつつ締結または変更すべきものとされています。
均衡を考慮した事項の説明は努力義務となっていますが、無期転換後の労働条件の明示は必ず行う必要が生じます。
以上の点を踏まえて、来年4月以降は労働条件明示について留意しなければなりません。
労働条件通知書等のフォーマットを変更するとともに、有期契約労働者を多く雇用している事業所においては、更新タイミングごとの各明示や説明が適切に行えるように準備を進めていただければと思います。
今後、さらに詳しい内容について厚生労働省からリーフレットや案内があるかと思いますが、現時点において改正内容の概要を理解されておくとよいでしょう。
人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子
★上記の内容について、以下に図解入りで解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
労働条件明示のルールはこう変わる!
※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています