コラム

シニア人材の活用を後押しする助成金

2023.04.14

●高齢者活用が叫ばれて久しいですが、70歳までの就業機会確保措置が努力義務化され、今後の対応について検討をされている企業も多いのではないでしょうか。

高齢者が意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現するため、事業主に向けて3つの公的助成金が用意されています。

それぞれの内容について確認しておきましょう。

 

1.65歳超継続雇用促進コース

 

以下のAからDのいずれかを実施した事業主に対して助成を行うコースです。

A. 65歳以上への定年引上げ

B. 定年の定めの廃止

C. 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入

D. 他社による継続雇用制度の導入

 

*支給額

定年引上げ等の措置の内容や年齢の引上げ幅等に応じて、10万円~160万円で幅があります。

 

*主な支給要件

・制度を規定した際に経費を要した事業主であること。

・制度を規定した労働協約または就業規則を整備している事業主であること。

 

このほか、以下の要件も必要になります。

(1)措置実施の6か月前の日から支給申請日の前日までの間に高年齢者雇用安定法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしていないことや同法第10条の3第2項に基づく勧告を受けていないこと

(2)支給申請日の前日において1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること

(3)高年齢者雇用等推進者の選任及び高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施している事業主であること 等

 

2.高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

 

高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主に対して助成するコースです。

 

対象となる措置は以下の通りです。(実施期間:1年以内)

(1)高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善

(2)高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善

(3)高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善

(4)高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入又は改善

(5)専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善

(6)法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入 等

 

*支給額

上記の支給対象経費の額に以下の助成率を乗じた額

・中小企業事業主:60%  ・中小企業事業主以外:45%

※ 支給対象経費は、初回に限り50万円とみなされます。

 

3.高年齢者無期雇用転換コース

 

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業に対して助成するコースです。

 

*支給額

・中小企業:48万円  ・中小企業以外:38万円

 

*主な支給要件

(1)「無期雇用転換計画書」を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に提出し、計画の認定を受けていること。

(2)有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度※2を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定していること。

※2 実施時期が明示され、かつ有期契約労働者として平成25年4月1日以降に締結された契約に係る期間が通算5年以内の者を無期雇用労働者に転換するものに限ります。

(3)上記(2)の制度の規定に基づき、雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者※3を無期雇用労働者に転換すること。

※3 無期雇用転換日において64歳以上の者はこの助成金の対象労働者になりません。

(4)上記(2)により転換された労働者を、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後6か月分の賃金※4を支給すること。

※4 勤務をした日数が11日未満の月は除きます。

このほかにも、細かい要件があります。

 

 

●各種助成金の申請を検討される場合は、以下をご参照ください。機構のサイトから様式のダウンロードも可能です。

https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/index.html

(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のサイト)

 

今後ますます人手不足が加速する中で、高齢人材の活躍にも目を向けていきたいところです。

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています