コラム
年次有給休暇管理簿は大丈夫?3つのポイント
2023.02.20
●労働基準法に規定されている作成義務のある帳簿として、「法定3帳簿」をご存知でしょうか。
これに加えて近年、重要になっているのが「年次有給休暇管理簿」です。
まず、法定3帳簿について確認しておくと、「賃金台帳」「労働者名簿」「出勤簿」の3つとなります。
紙ではなく、電子データやシステム上で管理されているケースが多いと思いますが、求められた場合に印字できれば特に形式は問われません。
こうした法定帳簿に関しては、調査を受ける際に必ずチェックされるものです。この機会に、きちんと整備されているかご確認ください。
例えば、「出勤簿」に関して指導を受ける項目は、以下のようなものがあります。
・保存年限未了の出勤日を廃棄してしまっている(保存義務違反)
・押印など出退勤の確認のみで、始業・終業時間が記録されていない
・中抜けを認めている場合や随時休憩を取得させている場合に休憩時間の記載がない
●働き方改革により、労働基準法が改正され、2019年4月1日から、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
この改正に伴い、「年次有給休暇管理簿」の作成も義務化されています。
労働基準法施行規則第 24 条の7において、
「使用者は、法第 39 条第 5 項から第 7 項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第 1 基準日及び第 2 基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第 55 条の 2 において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後 3 年間保存しなければならない」
と規定されています。
少々難しく書かれていますが、ポイントは次の3つ。これらは絶対に盛り込むようにしてください。
・基準日→年次有給休暇取得日数を付与した日
・日数 →年次有給休暇の取得日数
・時季 →労働者が実際に年休を取得した日付
これらを労働者ごとに作成する必要があります。
たとえば、2023年4月1日入社の場合、法定通りの考え方であれば、2023年10月1日が「基準日」となり、10日付与することになります。
そして、次の基準日までに、5日以上の年次有給休暇を取得させる必要があります。
管理するだけでなく、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者にきちんと5日以上の年次有給休暇を取得させることが大変重要です。
年10日以上の年休を付与する労働者であれば、パート・アルバイト等も当然対象となります。
管理監督者も労働者に含まれますので、きちんと取得させるようにしましょう。
この「年次有給休暇管理簿」は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することも可能です。
また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理することも差し支えありません。
年次有給休暇管理簿は3年間の保存義務もありますので、忘れずに対応ください。
人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子
※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています