コラム

出産育児一時金、出産費用が少なかったときの差額を受取るには?

2022.10.26

●出産育児一金は現在、一児につき「42万円」となっています。自民党の茂木敏充幹事長は24日での都内の講演において、2023年度から「47万円」へ5万円引き上げる見通しを示しました。

大都市圏を中心に出産費用が増えており、一時金の額が不足しているとの声が相次いで出ていました。47万円であっても足りない・・・というケースもあるでしょうが、範囲内に出産費用が収まるケースも考えられます。

来年度の改正も見込まれる中、出産育児一時金の額よりも、実際の出産費用が少なかった場合の対応について確認しておきましょう。

 

出産育児一時金の差額受取方法は2種類ある

 

●「出産育児一時金」は現在、一児につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円)が支給額となっています。来年度以降は、一児につき「47万円」に改正される見通しですが、出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合、差額はどうなってしまうのでしょうか?

結論をいうと、その差額は被保険者に支給されます。

 

一般に、出産育児一時金の受け取りは、「直接支払制度」を利用されるケースが多いと言えます。

では、直接支払制度を利用した場合で、出産費用が出産一時金の額より少なく、差額を受け取るにはどうしたらよいのでしょうか?

直接支払制度では、出産育児一時金の申請と受け取りを被保険者の医療機関が行います。

例えば、実際の出産費用が39万円だった場合、健康保険組合から直接医療機関へ42万円が振り込まれます。その差額3万円を被保険者が受け取るには、差額申請を行う必要があります。

 

差額の申請方法は「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」と「健康保険出産育児一時金差額申請書」の2種類があります。

直接支払制度を利用し、医療機関等への支給が終了すると、その旨を知らせる「支給決定通知書」が被保険者に届きます。

この通知が届く前に申請する場合が「内払金支払依頼書」、通知が届いた後に申請する場合が「差額申請書」となります。

 

申請方法によって、添付書類が以下のように異なります。

 

【内払金支払依頼書の場合】

1.医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し

2.出産費用の領収・明細書の写し

3.申請書の証明欄に医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明を受けること

 

ただし、医療機関等から交付される領収・明細書に「出産年月日」及び「出産児数」が記載されている場合は必要ありません。

証明が受けられない場合は、戸籍謄本、戸籍事項記載証明書、登録原票記載事項証明書、出生届受理証明書、母子健康手帳(出生届出済証明がなされているもの)などを添付する必要があります。

 

【差額申請書の場合 】

添付書類は必要ありません。

 

差額の受け取りを急いでいなければ、「差額申請書」によって申請する方が圧倒的に楽です。

出産費用が少なかった場合は、「支給決定通知書」が届くのを待ってから差額申請をするとよいでしょう。

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

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