コラム
一部変更となった育児休業給付に関する被保険者期間の要件
2021.11.11
雇用保険の育児休業給付に関する被保険者期間の要件について、2021年9月1日から一部変更となりました。
これにより、これまで要件を満たさなかった従業員でも、支給の対象となる可能性があります。特に、勤務開始後1年程度で産休に入った従業員などは対象となる可能性がありますので、ご注意ください。
※この変更は、育児休業開始日が2021年9月1日以降の従業員が対象となります
まず、原則の育児休業給付の被保険者期間は以下のとおりです。
<現行>育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上※1ある完全月が12か月以上あること。
改正後は以下の場合も育児休業給付の支給に係る被保険者期間要件を満たすこととなります。
<改正後>被保険者期間において上記要件を満たさないケースでも、産前休業開始日等※2を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上※1ある完全月が12か月以上ある場合には、育児休業給付の支給に係る被保険者期間要件を満たすものとする。
※1:11日以上の月が12か月ない場合、完全月で賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します。
※2:産前休業を開始する日前に子を出生した場合は「当該子を出生した日の翌日」、産前休業を開始する日前に当該休業に先行する母性保護のための休業をした場合は「当該先行する休業を開始した日」を起算点とします。
では、具体的な例で確認しましょう。
就職・・・2021年4月1日
産前休業・・・2022年4月5日~
出産日・・・2022年4月30日
産後休業・・・~2022年6月25日
育児休業・・・2022年6月26日~
被保険者要件(現行)⇒(育休開始の2022年6月26日を起算点とするため)被保険者期間12か月を満たしません
被保険者要件(改正後)⇒(産休開始の2022年4月5日を起算点とするため)被保険者期間12か月を満たします
なお、改正後の方法によって被保険者期間を確認する場合、休業開始時賃金月額証明書の記載は、休業開始時賃金月額証明書の4および7の「休業等を開始した日」欄に産前休業開始日等を記載します。それ以外の記載方法はこれまでと同様です。
時々、育児休業給付金の要件を満たさないことから、ご相談を受けることがあります。今回の改正も要件が緩和されたという意味では朗報ですが、それでも被保険者期間が足りない場合も考えられます。
被保険者にとって、給付金の受給有無は経済的にとても大きな違いとなります。不安な場合は、専門家やハローワークにてご相談をされることをおすすめします。
人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子
※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています