コラム

2022年1月から傷病手当金が支給期間通算に変更

2021.08.06

厚生労働省から「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間(2019年11月1日から2020年10月31日)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は 9.2%でした。

このうち、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は 7.8%。業種別にみると、情報通信業が一番多い結果となっています。

以前よりメンタルヘルス不調による問題は労務管理上における課題の一つとされています。

同調査ではメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は 61.4%となっており、2018年の調査より2.2%上昇する結果となりました。

 

傷病手当金とは?

 

メンタルヘルス不調に限ったものではありませんが、従業員が業務外の病気やケガで働けないときに、生活保障として受けられる手当が健康保険の「傷病手当金」です。

傷病手当金は、以下のすべてに当てはまる場合に、被保険者である従業員に支給されるものです。

(1)業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること

(2)仕事に就くことができないこと

(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

(4)休業した期間について給与の支払いがないこと

(給与をもらってもその額が傷病手当金より少ないときは差額が支給される)

 

傷病手当金は、支給を始めた日から起算して1年6カ月を超えない期間が対象となります。長期間受けられるように思えますが、同じ病気やケガが再発した場合であっても、1年6か月経過したら支給が受けられない、という点で保障が十分ではないのではという指摘もありました。

そこで、2022年1月から改正・健康保険法により、同一の疾病・負傷に関して、支給期間を通算して1年6か月を経過した時点まで支給されるように変更されます。

すでに現在、傷病手当金の支給を受けている従業員がいるかもしれません。

この支給期間の通算は、2021年12月31日において、暦の通算で1年6カ月を経過していない場合に適用されます。

 

該当する従業員がいるかもしれませんので、くれぐれもご留意ください。

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています