コラム

2021年4月施行、改正・高年齢者雇用安定法のポイント

2021.02.22

●人生100年時代と言われる中、私たちの働く期間は延び、近い将来は45~50年くらい働くのはあたり前の時代になってくることでしょう。

とはいっても、若い頃と同じ働き方は厳しくなりますし、求められる役割も変わってきます。

2021年4月からは、改正・高年齢者雇用安定法によって、70歳までの就業機会の確保が使用者の努力義務となります。

今回は、改正のポイントについて確認していきましょう。

●まず、現行法では、定年を65歳未満に定めている会社において、

(1)65歳までの定年引き上げ

(2)定年制の廃止

(3)65歳までの継続雇用制度の導入

これらいずれかの措置を講じることが義務付けられています。継続雇用制度については、原則として、希望者全員が対象となります。

改正後は、上記に掲げる65歳までの雇用確保義務に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、以下のいずれかの措置(これを「高年齢者就業確保措置」といいます)を講ずる努力義務が新設されます。

対象となる高年齢者就業確保措置

(1)70歳までの定年引き上げ

(2)定年制の廃止

(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
b. 事業主が委託、出資(資金提供)などする団体が行う社会貢献事業

いずれの措置を適用するかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講ずることが望ましいとされています。

改正内容を一言でいえば、定年と継続雇用制度の導入が65歳から70歳に引き上げられたこと、そして70歳まで雇用される以外の選択肢が新たに加わったことです。

なお、高年齢者就業確保措置は努力義務のため、会社が対象者を限定する基準を設けることができます。ただし、定年の引き上げと定年廃止については対象基準を設けることは認められていません。

●これらの高年齢者就業確保措置においては、70歳までの継続雇用制度の導入を検討する企業が多いと考えられます。

65歳までの継続雇用制度と大きく異なる点は、自社及び特殊関係事業主(いわゆるグループ関連企業)に加えて他社も含まれるということです。

大企業を中心に、グループ会社への出向は雇用調整や技術移転などにおいてよく行われてきた手法ですが、全く関連のない他社まで対象が広がった点は特筆すべきでしょう。

雇用によらない創業支援等措置とする場合は、実施に関する計画を作成し、過半数労働組合などの同意を得て、労働者に計画を周知する必要があります。

また、雇用保険制度においては、65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて、高年齢雇用継続給付が2025年度から縮小されます。

以上のように、シニアにおける雇用環境は法改正の後押しもあり、急速に整備が進められています。

あなたの会社においても、今後の対応についてぜひ検討いただければと思います。

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子

 

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