コラム

改正・育児介護休業法、2022年4月施行の2つの改正

2021.10.15

2021年6月9日に交付された改正・育児介護休業法は、3段階に分けて5つの改正が施行されます。

施行時期と改正は以下のとおりです。

 

■2022年4月1日施行

1 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 ※就業規則の変更が必要

 

■2022年10月1日施行

3 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設 ※就業規則の変更が必要

4 育児休業の分割取得 ※就業規則の変更が必要

 

■2023年4月1日施行

5 育児休業取得状況の公表の義務化

 

 

それでは、2022年4月1日に施行される2つの改正について、新たに示された省令や告示の内容を含めて確認しましょう。

 

1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

 

<育児休業を取得しやすい雇用環境の整備>

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

※複数の措置を講じることが望ましいとされています

 

1.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

2.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)

3.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

4.自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

 

<妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置>

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。

※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

 

 

◇周知事項◇

1.育児休業・産後パパ育休に関する制度

2.育児休業・産後パパ育休の申し出先

3.育児休業給付に関すること

4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

 

個別周知・意向確認の方法は、面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかです。

※いずれも「産後パパ育休」については、2022年10月1日から対象

 

 

2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 ※就業規則の変更が必要

 

<現行>(育児休業の場合)

(1) 引き続き雇用された期間が1年以上

(2) 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

 

<2022年4月1日~>

(1)の要件を撤廃し、(2)のみに

無期雇用労働者と同様の取り扱いとなりますが、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外が可能です。

また、育児休業給付も同様に緩和されます。

 

今回は、改正・育児介護休業法の5つの改正のうち、2022年4月1日に施行される2つの改正について確認しました。

雇用環境整備、個別の周知・意向確認は、「産後パパ育休」については2022年10月1日から対象となりますが、対象者や対象者の配偶者の出産の時期によっては産後パパ育休についても概要を説明するなどした方が良いケースもあると思われます。

また、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和は、就業規則の変更が必要となりますので、年度内に準備をしておきたいところです。

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています