コラム
10月から改定される最低賃金、注意点は?
2019.09.24
●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。
2019年10月1日から10月中旬にかけて順次、各都道府県における地域別最低賃金が改定されます。
最低賃金とは、各都道府県における事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されるもので、常用・臨時・パートタイマー・アルバイト・嘱託などの雇用形態や性別、国籍、年齢の区別なく適用されます。
なお、派遣社員においては、派遣元ではなく、派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用される点にご注意ください。
東京都と神奈川県では、全国初の時間額1000円を超えることとなり、10月1日より東京都は1013円、神奈川県では1011円となります。一方、最低額は790円で、その差223円と昨年と比べかろうじて1円改善されている状況です。
全国加重平均額は901円(昨年度874円)となり、27円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となりました。
各都道府県の改定額はこちらです(リンク先は厚生労働省のサイト)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
●最低賃金は、月給制の社員の場合、時間額に換算して比較することになります。ただし、下記の金額は最低賃金に算入されません。
1)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
2)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
3)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
4)時間外、休日労働及び深夜労働の手当
アルバイトやパートなど、時間額で労働条件を定めている場合は、わかりやすいので、現在の時間額と10月以降改定される最低賃金を必ず比較して、下回ることのないように給与をチェックしましょう。
月給制の場合、最低賃金に算入される上記以外の手当を含めて時間額を算出し、最低賃金と比較するようにしてください。
特に注意したいのは、固定残業の手当が支払われている場合です。こうした定額残業代は、最低賃金に算入されませんので、必ず手当から除いて確認しなければなりません。
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対して、その最低賃金以上の賃金を支払うことが最低賃金法第4条第1項で定められており、これに違反した場合(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、50万円以下の罰金が定められています。
なお、最低賃金引上げに向けた環境を整備するために、キャリアアップ助成金など、助成金による支援制度もあります。あわせて検討されてみてはいかがでしょうか。
※この投稿は、掲載日時点において明らかになっている法律内容に基づき記載されています。