コラム

新型コロナウイルスに関する母性健康管理措置の改正について

2020.05.11

●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

新型コロナウイルス感染症の収束がまだ見えない中、特に働く妊婦の方にとっては不安やストレスを強く抱えている場合もあります。

こうした方たちに対して、母性健康管理を適切に図ることができるよう、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理上の措置として、5月7日に指針が改正されました。

 

●男女雇用機会均等法では、妊娠中及び産後1年以内の女性労働者が保健指導や保健診査の際に主治医や助産師から指導を受け、事業主に申し出た場合、その指導事項を守るため必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。

今回新たに規定されたものは、新型コロナウイルス感染症に関する措置です。

妊娠中の労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主はこの指導に基づいて、必要な措置を講じることが新たに規定されました。

 

具体的には、感染のおそれが低い作業への転換や、出勤の制限(在宅勤務や休業)など挙げられます。

 

企業側が指導事項を守るためにも、適切に指導事項を通知してもらう必要があります。そこでのコミュニケーションツールとして活用したいのが、「母性健康管理指導事項連絡カード」(略して母健連絡カード)です。

ほとんどの母子健康手帳にも、連絡カードの様式が記載されていますが、健康診査を受ける従業員に、あらかじめ母健連絡カードを渡して主治医等に提出、あるいは主治医等が備えている連絡カードを作成してくれることで、女性従業員はその連絡カードを会社に提出し、措置を申出ることができます。

 

提出を受けた人事労務担当者等が産業医や産業保健スタッフ等に助言を受けながら、女性従業員と話し合って、指導事項に基づき必要な措置を講じるというものです。

 

新型コロナに関する措置の対象期間は、2020年5月7日~2021年1月31日までとなっています。

 

なお、母性健康管理措置を求めたことやこれを受けたことを理由とする解雇等不利益取扱いは男女雇用機会均等法により禁止されています。

 

母健連絡カードは、下記からダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
https://gracepartners.jp/nse7

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士
佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、掲載日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています