コラム

雇止め予告が必要となる有期労働契約とは?

2025.05.28

●有期労働契約については、契約更新の繰り返しによって一定期間雇用を継続したものの、経営上の事情等から契約更新が行わず期間満了をもって退職となる、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルが問題となることがあります。

トラブルの予防や解決を図る観点から、労働基準法第14条第2項に基づき、「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」が策定されています。

この基準に基づき、雇止め予告が必要となるケースについて確認しておきましょう。

 

使用者は、有期労働契約の締結後、

・更新上限を新たに設ける場合

・更新上限を短縮する場合

については、当該労働者にあらかじめ(更新上限の新設・短縮をする前のタイミングで)説明をしなければなりません。

これは、令和6年4月の改正によるものです。

そして、有期労働契約を更新しない場合には、以下の要件に該当するときに、少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

 

【雇止め予告の対象となる有期労働契約】

1.3回以上更新されている場合

2.1年以下の契約期間の有期労働契約が更新又は反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合

3.1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

 

この際、事後のトラブルを防止するため、雇止め通知書など書面を作成・交付して、受領サインをもらっておくようにしておきたいところです。

また、雇止め予告後に、従業員から雇止めの理由について証明書を求められたときは、遅滞なくこれを交付しなければなりません。

明示すべき雇止めの理由は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。

 

●なお、同一の使用者との間で、有期労働契約期間が通算5年を超えるときは、労働者の申込により、期間の定めのない労働契約に転換されます(無期転換ルール)。

無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時には、無期転換申込権と無期転換後の労働条件について、令和6年4月以降は明示することが義務付けられました。

使用者は、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、他の通常の労働者とのバランスを考慮した事項について、当該労働者に説明するように努めなければなりません。

有期労働契約の締結や更新、あるいは雇止めに関しては、くれぐれもご留意ください。

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木由美子

※この投稿は、公開日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています