コラム

2022年1月より雇用保険「マルチジョブホルダー制度」スタート

2022.01.12

●2022年1月1日から、65歳以上の労働者を対象に、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」がスタートしました。

 

従業員が65歳以上で離職すると、一定要件に該当すれば「高年齢求職者給付金」という名称で一時金として受け取ることができます。

しかし、雇用保険の被保険者となっていなければ、こうした給付金はもらえません。

従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。

この要件に該当しない場合、雇用保険の手続きを行うことはありませんでした。

 

ところが、昨今は副業・兼業も広がり、一つの事業所で要件を満たさないものの、複数の事業所で働くケースも増えています。

そこで、複数の事業所で働く65歳以上の人が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して一定の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申し出ることで、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる「マルチジョブホルダー制度」が創設されました。

 

具体的には、以下の要件をすべて満たすことが必要です。

1.複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

2.2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること

3.2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

 

加入後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできません。

雇用保険に加入後、別の事業所で雇用された場合も、上記の要件を満たさなくなった場合を除き、加入する事業所を任意に切り替えることはできません。

 

●マルチ高年齢被保険者であった人が失業した場合、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あること等の要件を満たすと、「高年齢求職者給付金」を一時金で受給することができます。

2つの事業所のうち1つの事業所のみを離職した場合でも受給することができます。

 ただし、2つの事業所以外の事業所で就労していて、離職していないもう1つの事業所と3つ目の事業所をあわせてマルチ高年齢被保険者の要件を満たす場合は、受給できません。

 

給付額は、原則として、離職の日以前の6か月に支払われた賃金※の合計を180で割って算出した額(賃金日額)のおよそ5割~8割となる「基本手当日額」の30日分または50日分となります。

※2つの事業所のうち1つの事業所のみを離職した場合は、離職していない事業所の賃金は含めません

 

●マルチ高年齢被保険者の資格取得手続きについて

 

通常、雇用保険の手続きは、事業主(会社)が行います。しかし、マルチジョブホルダー制度に関しては、適用を希望する本人が手続きを行う必要があります。

手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、事業主に記載を依頼することになります。

事業主は、マルチジョブホルダーに対して、必要な証明を行わなければならないことが法令で定められています。

65歳以上の従業員を雇用する場合は、マルチジョブホルダー制度にご留意ください。

なお、この制度は、本人がハローワークに申出を行った日から被保険者となるため、申出日より前に遡ることができないことに注意が必要です。

 

もっと詳しく知りたい場合、「マルチジョブホルダー業務取扱要領」をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000869824.pdf

(厚生労働省ホームページ)

 

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています