コラム

男性社員が育児休業を取る際の留意点

2020.01.29

●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

最近、注目されることが多い男性の育児休業。弊所でも男性育休のご相談が増えています。

政府は、子供が生まれた男性の国家公務員に対し、1か月以上の育児休業の取得を促す制度を2020年度から始める方針を打ち出しました。民間企業においても、大企業を中心に、その流れは少しずつ広まっていくものと思います。

 

育児休業に関しては、原則として1歳未満の子のいる男女労働者が申出により取得することができます。

無期雇用ではなく、有期労働契約の場合、申出の時点で次の(1)(2)の両方を満たす必要があります(男女共通)。

(1)同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

(2)子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

 

「男性はいつから育児休業を取得できますか?」と質問を受けることがありますが、子どもの出産予定日から申出をすることができます。女性の場合は、出産日から起算して、58日目からとなります。

育児休業の申出は、1か月前までが原則となりますので、それまでに休業開始日・終了日等を記載した書面(育児休業申出書)を提出してもらいます。申出を受けたら、会社は速やかに「育児休業取扱通知書」を交付するようにしましょう。

 

ただ、実際の出産日と出産予定日が異なることは、よくあります。

出産予定日よりも早く生まれた場合は、繰上げて実際の出産日から取得できます。逆に予定日よりも実際の出産日が遅れた場合でも、出産予定日から取得できます。

育児休業開始日の繰下げについては、法律上の規定がないので、会社は必ずしも繰下げを認める必要はありませんが、就業規則の定めにより変更は可能といえます。

業務の引継ぎなどもあると思いますので、この点については事前に本人と確認しておくとよいでしょう。

ただし、男性の場合、雇用保険のひとつである「育児休業給付」の対象となるのは、実際の出産日からとなりますので、ご注意ください。なお、育児休業給付の受給資格は、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となるなど、一定の要件があります。

支給額は、育児休業の取得開始から180日までは休業前6か月における平均給与の67%、181日目以降は50%となります。

 

また、育児休業中は事業主の申出により社会保険料(労使双方)が免除となります。具体的には、育児休業を取得した月から育児休業を終了した日の翌日の属する月の前月までとなります。社会保険料は日割計算をしませんので、たとえば1月30日~2月3日まで5日間の育児休業であっても、このケースでは1月分の社会保険料が免除されます。

 

ところで、育児休業は子ども1人につき1回が原則です。しかし、男性社員の場合、配偶者の出産後8週間以内の期間に男性が育児休業を取得した場合、もう一度取得が可能となる特例があります。

女性の育児休業と男性の場合とでは、対応が異なる点があるので、気を付けたいところです。

 

人事労務コンサルタント/社会保険労務士

佐佐木 由美子

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています